野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ラスプーチンというよりライアン

昨日の出張で、行きの新幹線で読み終わったのは「国家の罠」。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)


出た当時は結構話題になり、ベストセラーにもなった本。ついに文庫で出たのでさっそく読んでみた。
とても面白い本だ。色々と盛りだくさん。拘置所内の生活や検察の取り調べなど、普通の民間人なら知ることがないようなことに関するドキュメンタリー。ロシアの政治家の生態や物の考え方と対ロ外交についての解説、外交官や外務省職員の仕事。色んな読み方ができると思う。
すごいのは、ある外務省幹部の発言だ。
「日本人の実質識字率は五パーセントだから、新聞は影響力を持たない。ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で物事は動いていく。」
ナメてんのかコラ。だけど残念ながらそうかも知れない。
もっと面白かったのは、川上弘美さんによる文庫版の解説だ。この内容、僕の感想とほぼ同じ。
あと印象的なのは、本文中に何度か出てきた「『好きなこと』と『できること』は違う場合がある」というフレーズ。そうだよなあ。この二つと、さらに「世の中から求められること」が一致するっていうのは、とても幸せなことだと思うよ。
この人の他の本も読んでみないとな。