野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

やっぱり武士は食わねど高楊枝

なんだか、ここ数日のエントリをみると、やたらと飲んだくれてばかりのような気が。たぶん気のせいだと思うけど。



さて、数年前のベストセラーだったかと思うが、「武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)」を読んでみた。
武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)


まったくの話、同じ情報を与えられても、人によってそこから得られるものというのは、格段に違うのだ。本書の著者、磯田氏は古本屋だか骨董屋だかから連絡を受けて大コーフンしながらその店へ行き、なんと16万円を投じてその古文書を購入したらしい。そんなものを読んでもまったく意味不明であろう僕にとっては、狂気の沙汰としか言いようの無い所業だが、磯田氏にとっては、その文書は購入費用の何百倍、何千倍という価値を持つものなのだ。実際、彼はその文書から、とある武家の江戸時代末期から維新後しばらくまでに及ぶ数々のドラマを読み取り、現代のわれわれの前にカラフルな物語として再現してくれたわけだ。たかが家計簿(入払帳、と言うらしい)から、見る人が見れば、実に色々なことが解るらしい、と実にそのことに驚くやら感心するやら。面白い本だった。
最近この人は、「殿様の通信簿」という本を出しており、そちらも気になるところ。単行本じゃなくて文庫化してほしいなあ。