野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

発見

世の中には、エスカレータというものを、異なる階を移動するにあたって「楽をするための手段」と位置づけている人と「より早く目的階に達するための手段」と考える人の2種類が存在する。多くのエレベータは、一段に二人乗れるようになっている。前記の二つの人種が一つの社会で円満に共存するために、じっと立つ人は二人乗れる段のうちの片側のみを利用し、残る片側は急いで歩く人たちのために空けておく、というのが暗黙のルールになっている。
問題は「どちらを空けるのか」ということだが、実はこれは地域によって異なる、というのは周知の事実だろう。東京・名古屋では右側を空ける。大阪では左を空ける。一般に、東では左、西では右に立つ、ということらしい。
この際、どちらを空けるのがよりエレガントか、とか、いずれがより合理的なのか、といったようなことを云々するつもりはない。問題は、「左右どちらを空けるか、という慣例が土地により異なるのなら、それはどこで(どの土地で)左右が逆転するのか」ということだ。そう、まさに「日本全国アホ・バカ分布図」で提起された問題と同じだ。
昨日京都でふと気づいた。かの地では、左右いずれのケースも存在する。というより、みんなそろってどちらかを空ける、という習慣を持つ人は少ない。もっと言えば、歩く人のためにどちらかを空けておこう、という意識が希薄である。すなわち、「エスカレータとは、楽をするための手段である」と信じて疑わない。
とはいうもののこれは、JR京都伊勢丹のエスカレータという、きわめて特殊な場所で、かつ限定的な範囲でなされた観察に基づいて導き出された仮説に過ぎない。
間違い無いのは、「エスカレータはより早く目的階に到達するための手段である」と考える人の割合が日本で最も多いのは大阪である、ということだろう。