「ヤバい経済学」って、なんて頭悪そうなタイトルなんだろう。書店などでこの本を見かけてちょっと気にはなるものの、ずっと敬遠していた。そうこうするうちに、増補改訂版が出たらしい。初版についていた「悪ガキ教授が世の裏側を探検する」というサブタイトルは無くなっている。
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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だからというわけじゃないけど、今頃になって読んでみたら、なかなか面白いじゃないの。作者も書いているように、タイトルには「経済学」とついているが、これは経済学ではないだろう。というか、マトモな経済学者ならとても扱わなさそうな内容をネタにしている。こんなネタは、ナイトスクープにでも依頼するべきものだ。ただし、ナイトスクープの探偵の手には負えないだろう。そんなネタを料理する道具が、経済学で使われている手法ということだ。
それにしても、「犯罪の発生率を低下させた最も大きな原因は中絶の合法化である」と堂々と主張してみたり、赤ん坊につけた名前を白人・黒人別に「高級な名前」と「安物の名前」に分類してみたり。なるほど、こりゃ確かに「ヤバい」。「生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」と言い放ったドーキンスと同じようにヤバい。
彼らは、科学者としての良心に従って、諸々の調査・実験データとそれに対する考察によって導き出される結論に対して真摯に向き合い、それがどんなに不愉快な内容であろうが目をそらさず、冷徹に世の中に対して知らしめたに過ぎない。そんなことをすればあちこちで反発を受けるに決まっている。マジメな奴らなんだよ。「悪ガキ教授」なんていうのはちょっと違うと思うぜ。
内容そのものとは別に、この本の翻訳もできが良いと思う。まあ人によっては、ちょっと軽すぎるんとちがうか、とか、品がないとか言うかもしれないけど。あたしゃ好きだね。村上春樹の好きな人なら大丈夫だ。