野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

Somewhere over the rainbow

「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになった。
で知られる、「陰陽師」シリーズの最新作、「夜光杯の巻」を読んだ。

陰陽師―夜光杯ノ巻 (文春文庫)

陰陽師―夜光杯ノ巻 (文春文庫)


ちなみに博雅くんの官位は晴明くんより上だから、二人きりのときは晴明くんもタメ口なのだが誰か第三者がいると
「ゆこう」
「参りましょう」
そういうことになった。
となるのがまた面白い。
岡野玲子さんのコミックでは晴明くん最後の方になるとスーパーサイア人となってしまっているが、原作のシリーズではまだ普通の人(いや普通じゃないか)のままだ。
「蚓喰法師」において、虹の古字はこんなんである、と晴明くんは言う

「これはつまり、双頭の龍が天よりふたつの谷川の水を飲む意ぞ」
ほんまかいな。
というわけで、白川静先生の「字統」をあたってみよう。
まず篆文はこんな感じ

けっこう近いですな。

「ていとう(変換できない)なり。状、虫(き)に似たり」という。ていとう(変換できない)は虹。虹は古くは天界に住む竜形の獣と考えられていた。その雄を虹といい、雌をげい(変換できない)という。げい(変換できない)はまた霓(げい)に作り、説文解字に「屈虹なり。青赤或は白色、陰のき(変換できない)なりとする。卜辞に虹げい(変換できない)を卜する例があり、天より降って河水を飲む姿がそれであるとされ、げい(変換できない)は両頭の竜形にかかれる。げい(変換できない)はその頭の形。その体は工形に反りのある形である。

云々とある。いや云々と言ったって、ただでさえ何だか良くわからないのに、あまりにも多くの漢字が変換できないとなると、これはもうどうしようもないわけだ。ただし、どうやら晴明くんが言っているのも、あながち単なるホラとも言いきれないようだ。
しかしアレですな、「字統」を今回初めて使ってみたけど、正味の話なんだかようわかりまへんな。これでもいちおう「普及版」なんですが…