野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

おわらないアトリエ

先日京都へパウル・クレー展を観に行った件
そりゃもう、クレーなんだから見逃せませんよ。会場も、京都国立近代美術館、良いところだ。
今回は、「クレー作品が物理的にどのように作られたか」について考える、というのがテーマらしい。なるほど。
いや実際、あんまりそんなの深く考えてみたことはなかったのだけど、あの不思議な味わいがどうやって生まれるのか、そう言われてみれば気になるわな。
「油彩転写」という、クレーが独自に生み出した手法があるらしい。まず下書きをして、次に転写用の紙を真っ黒に塗りつぶし、それを他の(転写先の)紙に乗せ、さらにその上から先ほどの下書きの紙を乗せ、その上から針で最初の下書きをなぞっていく、そうすると画が転写される、と。
へええええ、面倒くさいことするなあ!
さらにその上から水彩で着色することもある。こうやってできたのが、「上昇」とか「蛾の踊り」いったあたりの画なのだ。このテイストがたまらなく好きだ。転写した線の素朴な感じと、テキトーなんだかデリケートなんだかよくわからない淡い水彩の組み合わせが。
モノクロ線画の「別れを告げて」も秀逸だ。以前もどこかで観たような気がするが、何度観てもすばらしい。こんなのほとんど禅の美学なんじゃないのか。
どうも観てもふざけているとしか思えない「ぼろきれお化け」もまた楽しい。クレーの鑑賞のしかたとしてちょっと間違っているのかも知れないけど。
とにかくそんな感じで、たいそう充実した展示でございました。5月15日までやってるそうだし、もう一回くらい観に来たいなー。