野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

正ちゃんもびっくり

書店で「ほろ酔い文学事典」なんていうタイトルの本が目にとまって、反射的に買ってしまった。

ほろ酔い文学事典 作家が描いた酒の情景 (朝日新書)

ほろ酔い文学事典 作家が描いた酒の情景 (朝日新書)

古今東西の文学作品に登場する、ありとあらゆる種類の酒についてちょっとした蘊蓄を語る本。
まあやはりビールは椎名誠だし、ウイスキーは村上春樹だし、ギムレットはチャンドラー、そば屋で飲むなら池波正太郎、とそのあたりはしっかり押さえていて、さらに、ほうあの作品にはこんな酒が出てくるのか、と感心させられたり。「マシアス・ギリの失脚」はずいぶん昔に読んだけど、I.W.ハーパー12年なんて出てきたかな、とすっかり忘れていたり。
この著者はずいぶんとワインがお好きなようで、様々な種類の酒について触れていると言いながらも、ワインだけ明らかにバランスがおかしくて、かなりの紙幅を割いており(日本酒26ページに対してワインは93ページ)、蘊蓄の深度と熱も少し高め、というのもまた微笑ましい。
気軽に読めて、でもところどころでちょっと感心して、なかなか楽しい本でございました。