野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ヴァンゲル家の一族

いずれ読んでみなければな、と思っていた「ドラゴン・タトゥーの女」に、ついに手を出した。

これは先に映画を観ている。ストーリーを理解するのに苦労したけれども、けっこう面白かったのは覚えている。しかしながら例によって話の内容をほとんど記憶していない。なんだか北欧の辛気臭い天候のイメージだけはなんとなく覚えているけど。
この原作も、まず登場人物の名前がなかなか覚えられなくて難儀した。ただでさえ翻訳ものは名前を覚えるのが大変なのに加え、舞台がスウェーデンなのであまり馴染みのない固有名詞で、しかもやたら登場人物が多い。しかしながら、半分を過ぎたあたりから俄然面白くなってきて、どんどん勢いがつく。そして、忘れていた映画の内容もそれにつれて思い出してくる。
何と言ってもタイトルにある、タトゥー入りの女、リスベット・サランデル。ほとんど社会生活不適合者だが、超有能な調査員でありハッカーである彼女の活躍が、やはりこの物語の見どころ(それだけじゃないけど)かと。
とても良くできたミステリーなのだけど、これは同時にミソジニーも重要なテーマであって、スウェーデンの社会において女性が虐げられている現実について訴えるという側面もあり、その辺なかなかヘヴィであったりもするんですな。
まとにかく、近いうちに続編も読まねばなりますまい。