野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

タマの取り合いやで

ヤハウェ大親分を頂点とするユダヤ組から、その任侠道の解釈に対して異議を唱えたヤクザのイエスが立ち上げた振興のキリスト組。イエスの死後、果てしなく繰り返されてきた抗争はまさにヤクザどうしの仁義なき戦いである。てなコンセプトの小説『仁義なきキリスト教史』、なんや色もんかいな、と思ったら、これが意外としっかり書かれていてなかなか面白く、読み応えあるのですよ。

エスの処刑と復活、その後のパウロの活躍(?)、カノッサの屈辱叙任権闘争)、十字軍の遠征、宗教改革、などなど。歴史の授業で習って、何となく名前だけは聞いたことがあるな… という出来事が、すべて広島弁のセリフでヤクザの抗争として描かれると、急にカラフルな物語となり、ああなるほどこういう事だったのか、と妙に納得できる。小説として面白くするために過剰な演出をした部分も多々あるけど、やはりこのキリスト教の歴史というのは、部外者から見ると、どうでもエエやないかとしか思えないことに、時には現世的な欲も絡みつつ、争い続けてきたということなのだなあとしみじみ思う。