野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

The Damned Don't Cry

誉田哲也の新刊が出ているではないですか。
『歌舞伎町ダムド』というタイトルから、あのシリーズの続編だなこりゃ、ということで特に吟味もせずに購入した。

歌舞伎町ダムド (中公文庫)

歌舞伎町ダムド (中公文庫)

 

今回の主役はダムド君。ジウの後継者を自認する、イカレた殺し屋だ。誉田哲也作品ではいつもの事とはいえ、相変わらずグロい。ここまでエグくする必然性があるとは思えないのだけど… とにかくグロい。やり過ぎだ。もう一人の主役は、おなじみの東警部補。テレビドラマの『ジウ』を観るまでは、真田広之イメージだったのだけど、今じゃすっかり北村有起哉だ。『歌舞伎町セブン』のミサキも大活躍だが、彼女は伊崎基子だってことは『セブン』の時は言ってなかったよね確か。これもすっかりビジュアルは黒木メイサ
結局は、東警部補が殺されそうになりました。ってぐらいで、実はあまり中身の無い話だったような気がするなあ。いや、それなりに面白かったのだけど。まあストーリーというよりキャラクターの面白さで読ませる感じですかね。
しかしアレですな、この終わり方からすると、まだまだ続編を出してくるつもりだねこりゃ。いやもう、どうしたもんかねこれ。

のぞみにまつわるウンチクなど

今シーズン初めて、コートなしで出勤した。ちと寒いが、ちょいと厚手のジャケットを着れば十分にしのげる。やはり荷物が少ないのはありがたい。
さてまた今週も東京へ出張したわけだが、やはりのぞみ298号は700系、というのが基本であるようだ。過去にN700系ののぞみ298号に乗ったことは間違いなくあるのだが、そもそもそれが、何らかの事情による特殊ケースであったのかもしれない。
というわけで本日も3分早い7:20発の、のぞみ210号。普段と同じぐらいの時間に家を出れば余裕を持って乗れ、10時過ぎには浜松町のオフィスに入れる。そしてもちろんN700系、というなかなか使い勝手の良い便だ。ただし考えることは皆同じのようで、けっこう混んでいる。早めに予約しないとコンセントのあるE列の席は取りにくい。もちろんA列でもコンセントはあるが、こちらの窓際は仕事するにせよ寝るにせよ、朝日が眩しすぎる。まあアレだ、仕事するなら新大阪から静岡ぐらいまでがよろしかろう。車窓から富士山をしばし眺めた後、三島を過ぎたあたりからはトンネルが多くて電波の状態が悪く、ネットに繋ごうとしてもフラストレーションがたまるばかりだ。いっそのこと新横浜あたりまで仮眠をとって、リフレッシュした方が良い。で新横浜で起きて品川での下車に備えて態勢を整える、と。

ところで、中野駅前の豊後高田どり酒場なる店は、メニューは全品税別280円という、なんだか鳥貴族をパクったようなコンセプトの店だ。味も決して不味くはないがまあ普通、というあたりも実に鳥貴族的。ただし16時から開いていて便利。おまけに誰かをLINEの友だちという生贄として捧げれば、トリスハイボールが一杯190円だ。だからってちょっと飲み過ぎたかもしれん。ちょっと頭が痛い。

カレー堂にてカツカレー

午前中に営業所に寄り道し、早めの昼飯に難波でカツカレーを食べて午後から出社、という段取りで、今日は駅から歩くのがなんとなくダルいなと思ってバスに乗った。バスに乗っている時間は10分も無いのだけど、猛烈な眠気を感じてうとうとしている間に、降りるべき停留所を過ぎてしまっていた。哀号。
結局、停留所ひとつ分をとぼとぼと歩いて行く羽目に。春眠暁を覚えずてのはこういうことか。昼飯のカレーを食べ過ぎたか。あるいは土日に調子こいて飲んだくれ過ぎたか。もう良い歳なのだから、 何かとほどほどにしておいた方が良い、ということなのだろうなきっと。

ワンダーとシンパシーってやつですよね

お笑い芸人の書いた小説が芥川賞を取った、と話題になった『火花』については、まあそのうち文庫になれば読んでみてもええかな、ぐらいなつもりでいた。
なんでも最近ドラマ化されたようで、おまけに原作も文庫化されてしまった。じゃぼちぼち読んでみるか、と手を出してみたわけですよ。

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

 

 

そしたらあんた、これが存外シリアスな話で、しかも面白いじゃないですか。
主役の徳永は売れない漫才師で、営業先で出会ったお笑い芸人の神谷さんは天才であると確信し、弟子入りする。主にその神谷さんについて語るという小説だが、同時にまたお笑いについて、芸人について語られるその内容というのがもう、ほとんど狂気を帯びており、わたくしを戦慄させながらも惹きつけてやまないんである。神谷と徳永の会話がいちいちスリリングで面白いが、まったく常軌を逸している。日常の枠組みを揺さぶるところに笑いが生まれるとして、それを追求しようとするならば、やはりそれはとても危険なことで、よほどしっかりと足場を固め気を確かに持たなければそのまま破滅につながってしまうものなのだなあ、としみじみ思わされる。決して長大な小説ではないし、雰囲気はわりとさらっとしているのに、なんだか妙なインパクトがあって、ずいぶん濃密だった、という読後感。 不思議な本だった。

六甲道の駅前もずいぶん変わったよね

17時半より六甲道で飲み会の予定があったのだが茨木市内の某所で昼間から一杯引っ掛けており、ふと気づけば15:40を回っている。こりゃいかん、17:30に六甲道に着くにはJR茨木駅を16:51に出る電車に乗らねばならんのだ、と駅まで激走し、なんとか15:52の電車に乗ることができた。時間通りに六甲道に到着した電車を降り、Google Mapsで調べた店までの道を行こうと駅の階段を降りる途中でふと目に止まった時計は16:30を少しばかり回ったあたり。
え?16:30て…
1時間間違うとるがな。アホちゃうか。
何のために駅まで激走したのか…

すでに飲んでいたので、ゼロ次会よりもむしろ酔いを醒ます方が良い。ということで商店街の中にある喫茶店でコーヒーを飲んだ。たしかここは昔から喫茶店があった場所だが、以前は違う店だったような… まあ何でも良いけどね。なかなか美味いコーヒーだった。ゆっくり本も読めたし。
てことで17:30からの飲み会には万全の体勢で臨み、二次会は駅前の立ち飲み「刀屋」にて。いやもうすっかりフラフラですわ。

せんべろ探偵、行ってきました

以前に読んだ『せんべろ探偵が行く』西天満の松浦商店という立ち飲み屋が紹介されており、これはなかなか良さそうじゃないか調査が必要だ、と思ってからすでに5年近くが経過してしまった。たまたまあの界隈に行く用事があったので、かねてからの懸案となっていた本件について現地調査を執り行うことにした。
店の名前は正しくは「松浦酒店」だった。内部は思ったより広い。ど真ん中が厨房でそれを取り囲むような格好でカウンターが設えられている。午後6時半すぎに行ったのだが、おそろしく繁盛している。ほぼ満員と言ってよろしかろう。カウンターの角のあたりにスペースを見つけたのでそこに陣取り、生ビールを注文した。注文を受けるにあたって、ほんの少しのタイムラグというか微かな驚きのようなものが感じ取られたので、少し不安になったが、生ビール自体は問題なく供された。それとなく周囲を見回すと、みなさん様々なものを飲んでいるのだが、 なぜか生ビールだけが見当たらない。ビールはどなたも瓶ビールだ。しまった、ここで生ビールを注文するのはご法度なのか?と焦ったが、いったいいかなる理由においてそんなことになるのか。とりあえずポテトサラダとブリ大根を注文して生ビールを飲みながら考えた。この店はとても繁盛している。厨房内の大将とおかあさんは、それはもう忙しくくるくるとたち働かれている。だから客の我々は、彼らの手を煩わすことはできるだけ避けなければならない。しかるに生ビールというのは、サーバーからジョッキに注ぐのに決して短くはない時間と少しばかりの集中力を必要とする。一方で瓶ビールは、栓をすぽんと抜いてグラスとともに渡すだけで良い。手間がずいぶん違うのだ。なるほどそういうことであったか、いやいやこれは申し訳ないことをした。なにぶん初心者ということでここはひとつご容赦願いたい。などと勝手に納得しているうちに生ビールのジョッキが空いてしまった。かといってここで瓶ビールを注文するのも、なんだか気恥ずかしい。仕方がないので燗酒を飲むことにした。常に燗の状態になっていると思われるガラス製の一合瓶が出てくる。実に素早い。なるほど。燗酒にはやはりおでん、ということでコンニャクとすじと厚揚げを注文した。おでんになぜ大根を入れないのだ、と糾弾される向きもあろうが、いやいや大根は最初にブリといっしょに食べたでしょおじいちゃん。何を言うかあれはあくまでブリ大根であっておでんの大根はまた別物。大根なしにしておでんが成り立つと思うのかこの根性なしが、などと葛藤しつつ、さらにタコぬた合えも追加。

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燗酒一合飲むと、少しばかり回ってきた気がする。というより本来の用事のためにそろそろ去らねばならない。てことでお勘定。しめて1,450円。マジか。これはまさに「安くて、気取らない、それでいてちょっと気の利いたものをつまめる」店じゃないか。いやあこいつは参った。
ごちそうさんでした!

篠川さんちはそうめんに天ぷらが付くらしいよ

ああまた『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズの新作が出ている。今度は『栞子さんと果てない舞台』。

毎度毎度、もうぼちぼちええやろ、と思いながらもつい手を出ししまいながら、すでにシリーズ7作目。
そもそも6作目って読んだんだっけ?と心配になって、過去に買って読んだものを探してみた。大丈夫、ちゃんと読んでいた。読んでいたけど、どんな話だったかほとんど思い出せない。でもこのシリーズは親切で、そこまでの話をかなり丁寧に、登場人物の(改めての)紹介も兼ねて説明してくれている。実はそれでもなかなか思い出せないのだけど…
けっこう話が複雑なのよな。かなり頭を使わされるというか、集中力を要求されるというか。
今回のネタはシェークスピア。ストーリーはなかなか頭に入って来ないけど、このシリーズの面白いのは、本に関わる各種のトリビアだ。で今回はシリーズ初の洋書、ということで、これまた大量の小ネタ集にひたすら感心するばかり。
稀覯本をオークションで競り落とすという終盤のシーンはなかなか手に汗握る展開だ。そこまではちょいとダレてるという言い方もあるかもしれんが。まあこのシリーズは、先に書いたように本に関するトリビアを楽しめば良いのだ。
シリーズ7作目めにしてやっと完結。ああこれでやっと解放された。と思ったらなんだかスピンオフ作品やら番外編やらの構想もあるらしい。いやもう勘弁してくださいよホント。