野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

酒宴遊興、甚し

あの名著「武士の家計簿」の続編「殿様の通信簿」、単行本を横目で見ながら、早く新書にならんかな、と思っていたらついに新潮文庫で登場!さっそく購入したのでござる。

殿様の通信簿 (新潮文庫)

殿様の通信簿 (新潮文庫)


「土芥寇讎記」という古文書があるらしい。これは、元禄期に書かれたもので、諸大名の内実について記された文書だ。幕府の隠密が探索の結果をまとめたレポート、ということらしい。大変な文書があったものだが、これに記載されている内容をベースに色々の肉付けをして、本書では戦国末期から元禄期の人物(おもに大名)を取り上げている。水戸光圀は実は名君ではない、池田綱政は馬鹿殿様だった… などなど、色々と興味をそそる話が書かれている。この話が面白いっていうのは、「要するに、私たちは馬鹿殿様の話が好きで」と著者は分析している。そ、そうかなあ。…そうかも知れんな。
水戸光圀浅野内匠頭大石内蔵助、といった人物に対して後世の人々、つまり我々が持っているステレオタイプなイメージは、誰かに都合の良いように作られたものであることが多い、ということもこの本には書かれている。それは確かにそうだ。だけど、「つか版・忠臣蔵」を読んでみられたい。あれに出てくる浅野内匠頭大石内蔵助のキャラクタは、まったくこの本に書いてあるとおりだから。ということは、実を言うと坂本龍馬土方歳三桂小五郎も、つかこうへいの小説に出てくるようなのが実際に近いのかもしれんな。やっぱり沖田総司は女性だったに違いない。