たとえばフーコーとかロラン=バルトの本。一所懸命読めば、部分的には何とかその文章の意味はわからないこともない。だけど問題は、「だから何やねん」ということだ。結局なにが言いたいのか、と。
一方で例えばこの竹田青嗣さんの「人間の未来」、やはり難解ではあるのだが、何が言いたいのかというのが非常にクリアでよろしい。いやすばらしい。名著だ。
- 作者: 竹田青嗣
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/02
- メディア: 新書
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ネタとしてはヘーゲルを取り上げている。「近代社会」というものを擁護した、ということになっているヘーゲル、そしてそれを批判したと思われているマルクス、それぞれの言説を取り上げつつ、「近代社会」ないしは「近代国家」というものの本質を見いだそうとしている。そして、近代国家や資本主義がなぜ批判されるのか、その根拠は、ということを考え、では我々はどうすれば良いのか、というところに辿り着く。
とても大切なことはすでにまえがきに書かれている。
現在の世界資本主義が抱えている中心的問題は二つ。拡大する格差の構造と、資源・環境の地球的限界ということだ。
これらの問題にはっきりとした輪郭と展望を与えることは、現代の思想の大きな課題である。
そうか、そういうことか、と思った。思想家・哲学者のミッションはここにある。そうは思わない哲学者もいっぱいいるのだろうが、すくなくともこれは非常にわかりやすく、いわゆる「腑に落ちる」というのを体感できる。
言いたいことはたくさんあるが、まあ今日の所はこれぐらいにしておこう。後日、この件について再び触れることがあるかどうかはわからないけれども。