野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ちくま学芸文庫にお願い

先日レヴィ=ストロースの訃報を聞いたばかりで、さっそく書店には「闘うレヴィ=ストロース」なる本が並び始めた。ふむ、レヴィ=ストロース追悼企画か、と思ったがどうやらそういうわけではなさそうだ。おそらく元々は100歳記念企画、だったのだろう。たまたますごいタイミングで亡くなってしまったのだ。
ちなみにAmazonでこの本を見ると、「よく一緒に購入されている商品」に「日本辺境論」が。げっ、何でわかったんだ。まったくおっしゃる通り、一緒に購入しました、ジュンク堂で。

闘うレヴィ=ストロース (平凡社新書)

闘うレヴィ=ストロース (平凡社新書)


ウチダ先生によれば、レヴィ=ストロースは「みんな仲良くしよう」と言っているらしい。うん、確かにそういうことなのかもしれないな。
最近はもう、フーコーやらレヴィナスで、徹底的に痛めつけられた俺様だが、この本は良い。書いてあることがわかるのだから。やっぱりアレだ、レヴィ=ストロースの本は、もとがフーコーレヴィナスよりもわかりやすいのだろう。といっても比較の問題だけどな。難しいことには変わりない。
それにしても、レヴィ=ストロースが南米で集めてきた神話のコレクションは面白いな。なんだか読んでてわくわくする。大枠のところに共通の部分があって、地域ごとに少しづつバリエーションする、というあたりが、なんだか「遠野物語」のような感じになるが、さらにそこから一歩踏み込んでそれらの物語群の構造を解析し、そこから隠された(別に隠れてはいないか)シンボルやメッセージを浮き上がらせる、というあたりの手腕がなんとも。物語のテンポとしては、「遠野物語」というより「百年の孤独」に近いかもしれない。これがラテン風味か。
あえて難を言えば、結局何が「闘う」だったのかよくわからん、ということか。
とりあえず、「野生の思考」を読みたくなった。でもあれは高いのよ…