新潮文庫の新刊で「インテリジェンス人間論」が出ていたので買ってしまった。
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/10
- メディア: 文庫
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おなじみ佐藤優氏。この人の本を見るとつい買ってしまう。帯には「秘話満載の異色人物論集」「古今20余人の精神構造を丸裸!」「権力者はだから面白い。」「権力者たちの愛すべき素顔満載の実録ハードボイルド・ワンダーランド」などと書いてある。もう何が何だか、という感じだ。
もとは雑誌(「新潮45」)の連載だったらしい。いったいどんなお題だったのか。最初のほうは確かに、人物論とか権力者の知られざる横顔的な内容だけど、後半はもう、神学者について語ってみたり、聖書の解釈やら吉野の訪問記みたいなのまで出てきて本当になんでもありになってきている。まあ、とりあえず「インテリジェンス人間論」みたいなタイトルをつけてはみたものの、実際には本当に「なんでもあり」なんだろうし、その「なんでもあり」であれこれ書けるっていうのがこの人のすごいトコロなんだろう。内容は今まで他の著作で読んだようなものがほとんどだ。だけどこれがどうも面白いのよなあ。特に鈴木宗男とか橋本龍太郎とかプーチンの話。そして、新聞やテレビのニュースなんかを見てると小渕さんとか森さんってボンクラとしか思えないのだけど、実際はなかなか、というね。
がちっとしたクールでロジカルな文体でありながら、そこにつるっと「因に、小菅での晩御飯のメニューは、麦飯、青椒牛肉絲、小海老入り中華野菜スープ、ザーサイだった。なかなかおいしかった。」なんていう一文が入ってきたりして、特にあの強面な見た目とのギャップもなんとも言えずキュートだったりする。これがこの人の文章の魅力のひとつだと思う。