野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

生年月日を言うてください

先日、米朝落語全集とセットで買った、「枝雀 落語大全 第三十五集」。
収録されているのは名演との呼び声が高い「代書」と「いらちの愛宕詣り」だ。

枝雀落語大全(35)

枝雀落語大全(35)


われらが松本留五郎、「代書」で大活躍だ。おもろい。「替り目」と違って素面だが、それでも面白い。愛すべきボケキャラだと思う。音だけで映像が無いが、質問に対する留五郎の答えがことごとくピントがずれているのに対して代書屋がほとほと困り果てる様子が目の前に見えてくるようで、実に素晴らしい。なるほど名演である。
「いらちの愛宕詣り」は、ストーリー自体がかなり有名で、だから話がどうなっていくのかはもうよくわかっているのだが、それでもやっぱり「ぷぷ」となる。これまた楽しい噺なんである。
しかしまあそれにしても枝雀師匠のマクラって、とても面白いのだけど、よく聴いてみるとやたら理屈っぽいというか哲学的というか。やはり枝雀師匠は、笑いの求道者だったのだ。笑いを突き詰めすぎると、やってる本人はおかしくもなんともなくなるんじゃないのだろうな、きっと。やっぱり落語なんていうのは聴く側でお気楽に楽しむのが一番ってことだ。