野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

核エネルギーと一神教とか

中沢新一さん、出ましたねえ、「日本の大転換」。
「3.11以降の我々が進むべき道とは?」というお題なのだが、それはつまり「脱原発」。なぜそういうことになるのか、というのを、地球科学と生態学と経済学と産業工学と社会学と哲学をひとつに結合した新しい知の形態として「エネルゴロジー(Energology)」=エネルギーの存在論、というものを導入して説明しようという試みである。

日本の大転換 (集英社新書)

日本の大転換 (集英社新書)


もともと中沢さんは「反原発」の立場だったと思う。以前「縄文聖地巡礼」の中で原子力エネルギーについては他のエネルギーについて「ちょっと違う」ものだから、ほんらい我々が扱えるものではない、というようなことを言っていた。その時はもひとつよくわからなかったが、この本の中で、「生態圏」と「太陽圏」という概念で説明されると、理解できたような気がする。基本的に電子の交換に基づいて得られるその他エネルギーは「生態圏」の中での出来事であるが、原子力というのは核反応によって得られる。これは「生態圏」には無いもので、その外部である「太陽圏」から持ち込まれたものである。現在人類が持っている、あるいは将来的に持つことのできそうなテクノロジーのレベルからすると、その「太陽圏」からのエネルギーを「生態圏」のエネルギーに媒介する仕組みをまともな形では実現できないだろう(今すでにある仕組みはあまりにも稚拙である)。だから原子力エネルギーは、人類が利用するべきエネルギーとしては「間違っている」。
とだいたいそんな理屈じゃないかなと思う。間違ってたらごめんなさい。
他にも色々と面白い話が書かれている。でもどうなんだろうねこれ。いわゆる原発推進派の人たちが読んで、すんなり納得できる理屈なんだろうか。そのへんちょっと気になるところ。