「ノルウェイの森」で主人公ワタナベ君は、先輩である永沢さんについて以下のように語っている。
永沢という男はくわしく知るようになればなるほど奇妙な男だった。僕は人生の過程で数多くの奇妙な人間と出会い、知り合い、すれちがってきたが、彼くらい奇妙な人間にはまだお目にかかったことはない。彼は僕なんかはるかに及ばないくらいの読書家だったが、死後三十年を経ていない作家の本は原則として手に取ろうとしなかった。そういう本しか俺は信用しない、と彼は言った。
「現代文学を信用しないというわけじゃない。ただ俺は時の洗礼を受けていないものを読んで貴重な時間を無駄にしたくないんだ。人生は短い」
本に関してわたくしはそこまで過激な思想の持ち主ではない。しかしながら彼の言うこともわかる気はするし、いわゆる古典と言われているものは、できるだけ読むようにしている。だから、「源氏物語」も「CODE COMPLETE」も「五輪書」も「言葉と物」も「マネジメント」(「エッセンシャル版」だけど)もとりあえずみんな読んでみた。だから、ポーターの「競争の戦略」も読んでみようと思ったわけだ。
問題は、「競争の戦略」は少々お高いということだ。なんと6千円近くもするのだ。それはちょっとなぁ… と思っていたら、なんと原書Competitive Strategyのペーパーバックは今や2千円を切る値段で売られているのだ。おおこれは、と思ってついうっかり原書を買ってしまったのがもう2ヶ月ほども前のことだ。
- 作者: Michael E. Porter
- 出版社/メーカー: Free Press
- 発売日: 2003/12/26
- メディア: ペーパーバック
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Amazonから届いた本を見て、ちょっと後悔した。かなり分厚いぞこれ。持ち歩くのにはかなりかさばるし。それでも買ってしまったのだから仕方がない。とにかく根性で、2ヶ月近くもかけてなんとか読み終わったわけだ。
有名な5F(Five Forces)について、実に詳細に解説されている。業界構造分析、競合分析の手法、それぞれのForceの特性、また成長期、衰退期にある産業における特長、参入障壁、戦略変更の障壁、事業売却、新規事業への参入、などなど。ありとあらゆることについてこと細かく述べられていて、実際すべてを理解することはとてもできなかったし、またそこまでしなくてもよかろう、とも思った。古い本だから、何かと事例が古いのまあご愛嬌だが、それでも現在でも役に立つ話は色々あると思う。まあ教科書ですな。「今どきポーターなんて古いぜ」なんて言わず、まあ一度は目を通してみても損はないと思いまっせ。
しばらくはリハビリとして軽めのものをごりごり読み飛ばしていこうかなと思う。