あの稲盛和夫さんと梅原猛さんの共著、というか対談本があるなんて知らなかった。それも一冊だけではないという。こいつあ参ったぜ。
稲盛さんと言えば、言わずと知れた京セラの創業者であり、また最近では日本航空の代表取締役会長として経営を再建したり、とそういう人だ。いわば日本の経済界の大立者であり、だからゴリゴリの市場原理主義者で、とにかく経済成長を追求し、原発を再稼働させるよう政府に圧力をかけたり、とかその手の人だろう。と、勝手に思い込んでいたのだ。だから、梅原せんせなんかと対談、しかもタイトルが「近代文明はなぜ限界なのか」って、ものすごく意外だったのだが… すべてわたくしの偏見だったのですね。あー恥ずかし。
- 作者: 稲盛和夫,梅原猛
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もはや経済成長は不要である、なんてことをまさかこの人が言うなんて思ってなかったから、ちょっとばかし驚いた。戦争や民族紛争や環境破壊、そして金融恐慌など、これらは人間の欲望を野放図に解放してきた結果である。これまでの文明のあり方を謙虚に反省し、欲望やエゴを抑えて利他の心を持ち、善き心に基づいた新たな文明を構築していかなければならない。そこまでストレートに言われると、ちょっと気恥ずかしくもあるが… いやまったく御意でございます。こういうことをね、大企業の経営者の方々なんかが、本気で言わんとあかんと思うんですよ。
それにしても対談の中で出てくる梅原せんせの本、「隠された十字架 ーー 法隆寺論」とか「水底の歌 ーー 柿本人麻呂論」とか、なんだやけに面白そうじゃないか。また読みたい本が増えてしまいましたですよ。