時差ボケのせいか、午後になると猛烈に眠い。
まあこんなんでは仕事にならんわな、ということで午後は休みにして映画を観に行った。「ハンナ・アーレント」だ。最初にこの映画について知ったときに、そんなもん映画にするのか?!とちょっとばかし驚き、まあかなりマイナーな感じなのだろうな、とたかをくくっていたら、どうやらずいぶんと好評だっていうじゃないか。こりゃ平日に観に行くべきだ。で、行ってみたら確かにずいぶんと混んでる。梅田ガーデンシネマにあんなに人が入ってるのを初めてみた。しかもむちゃくちゃ年齢層が高い。なんかの記事に「中高年が殺到!」なんていう見出しがついていた。
さて映画が始まると、恐れていたとおり猛烈に眠くなってきた。おかげで何度か気を失ってしまい、話がわけわからんようになりかけたが何とか後半は持ち直した。で、あとはもう、圧巻だ。特に最後の方、大学の講義で吼えるハンナ。
地下鉄サリン事件とか、911テロみたいに、被害者と加害者がはっきりしているように見える出来事がある。こういうことに対してあえてニュートラルに、「加害者」の立場とかそんなことが起こってしまう原因、みたいなことについて突っ込んで考えてみたりすると、とてつもなくヒステリックな非難を浴びることになる。なぜあんな邪悪で極悪非道な連中を擁護するのだ、この人でなし!と。中沢新一とか大澤真幸とか森達也、なんていう人たちのように、ハンナ・アーレントも「ナチスの肩を持ちやがって!」と糾弾されたわけですな。その主張をよく読めば、そんなことは一言も書いてないのに。大学の教室でその考えをていねいに述べ(吼え)、学生たちの喝采を浴びながらも、でも残念ながら通じないヤツにはどうしてもわかってもらえない。なんともやりきれませんなぁ。
このご時世だから、ますます沁みますよ。わかりやすい話を簡単に信用するな。自分の頭でしっかり考えろ、てね。