野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

よせやい

三題噺というのがありますな。お題を三つ与えられて、それをネタに即興で落語をやるという。そういや昔「ざこば・鶴瓶のらくごのご」なんていうテレビ番組もあったりして。

ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)

ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)

「ヒア・カムズ・ザ・サン」は「サイコメトリーの三十男が、同僚の、ハリウッドで脚本家をしているという父親を迎えに行くのだが、実は」という、もともとは舞台用にあったあらすじをもとにした小説なわけだ。実はこの本には「ヒア・カムズ・ザ・サン」と「ヒア・カムズ・ザ・サンParallel」という、同じお題を元にした二つの中編が収録されている。これら二つの物語は、登場人物はかなりかぶっているのだがまったく別の話になっている。ざこばと鶴瓶がやっていたことを一人でやってしまったわけだな(そりゃもちろん即興じゃないけど)。で、どっちもかなり面白いっていうんだから恐れ入る。それにしても有川さんっちゅうのはこう、人の心の機微みたいなものを、実にうまいこと描くんですなぁ。というわけで通勤中の電車内で、一往復で読んでしまった一冊でございました。