野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

今どきメイドカフェなんて儲かるんすか

適当に始めた商売で、けっこう上手いことやってた。ところがある日、部下が金を持ち逃げしたあたりから色々と調子がおかしくなってきて、いつのまにか何百万円という借金ができていて、その債権はスジ者に売り飛ばされていた。借金の返済期限は4日後の正午。それまでに耳を揃えて全額返済せねばならず、もし少しでも不足があれば、その金額10万円ごとに指を一本ずつ切り落とされる。

たまゆら荘のユーウツ」という小説はここから始まる。どーすんだオイ、と思っているといきなり弁護士が訪ねてきて、先頃お亡くなりになったあなたのお祖母様が、遺産としてボロアパートを遺していらっしゃいます。ときた。アパートはボロすぎて資産価値は無いのだが、更地にすれば借金を返済できるぐらいにはなる。まさに地獄に仏。ただし、返済資金として換金するために、このボロアパート=たまゆら荘の住人6世帯分の退去届けを集めなければならない。たまゆら荘の住人というのがまた揃いも揃って訳ありの曲者ぞろいのところ、彼らを納得させ、退去届けにサインさせるために奔走する… というわけだ。最初の設定以外のところにも、多分にご都合主義のところはあるが、それでも面白い。なんだか主人公のキャラクター造形ってのがもひとつぼんやりしてる感じがして、そのせいか全体に薄っぺらい印象はあるけどね。でもまあ、楽しめりゃそれでいいじゃないか、と割り切って読めばよろしいかと。ラノベよりはしっかりした文章だし。
あれ?なんだかすごく辛口だなー。でも面白いんですよホント。