書店で「列島の歴史を語る」という本がなんとなく目についた。
中沢新一さんの本を読んでいると、網野善彦さんについて触れられていることが時々ある。だからずっと気になっていたのだが、彼の本は読んだことがなかった。この本は網野さんの講義録のようなものであるらしく、普通の著作よりは取っつきやすいかなと思って手に取ってみた次第である。
講義録、と書いたがどちらかというと講演会、いやもっと小ぶりな勉強会のようなものの記録であるらしい。なぜそんな勉強会が発足したのかというと、網野さんの著作「無縁・公界・楽」を読んで、何だこれスゲえ本だな、けどなんだかよくわからんぞ、と思ったからだという。うーむ、やはりいきなりそんな本に手を出さなくて良かった。
さて、日本は単一民族国家であるとか、他国から隔絶された島国であるということを前提としてあれやこれやを語る人々というのは、昔も今も多くいる。でも、その前提って正しいの?という疑義を挟み、いろんな証拠を集めて考えてみるに、実はこうじゃないの?と語る。決してすらすらと読める本では無いのだけど、日本の歴史に関する知識の、枠組みそのものを揺さぶられる感じが、なんともスリリングで面白い。ちょいと他の著作にも手を出してみようかなと思う。