はっきり言ってどうでも良いような連載ばかりの日経ビジネスオンラインにおいて、唯一異彩を放っており、またわたくしも楽しみにして読んでいるのが、小田嶋隆さんの「ア・ピース・オブ・警句」だ。
基本的にはオンラインで読めるテクストなのだけど、やっぱり「本」としてまとめて読みたいなと思っていた。ということでまずはKindleで入手可能な中でもっとも古そうな『その「正義」があぶない。』から。
- 作者: 小田嶋隆
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/08/12
- メディア: Kindle版
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どうにもモヤっとして仕方がないのだけれども、その取り扱いは一筋縄ではいかない様々な事案、というのが次から次へと湧いてくる昨今。それらを拾い上げて、時には理路整然と分析しすっきりさせてくれたり、またある時にはよりラディカルな問いかけ、視点をずらした問題提起によりますますモヤっとさせられたり。正論を言い立てて誰かを糾弾するわけではない。いやむしろ、最近なんとなくあちこちで目につく、そのような論調に対して疑義を表明する、というのが通底する態度であるとも言える。まったくもって変幻自在ながら斬れ味鋭く、しかしどこまでもクールに「世間に転がる意味不明」を料理するその手際には、いつもながら惚れ惚れする。
それにしても、この本が出た(というかこれらのコラムが連載されていた)ころというのは、どうも何だかイヤな感じの世の中になってきたなあ、などと思っていたものだが、それでも今と比べてみたらまだどこか牧歌的というか。
わたくしどもは一体、どこへ行こうとしているのでしょうか。