なぜだかよくわからないのだけど、うちに『猫弁』という本があった。
わたくしが買ったわけではないし、誰かが貸してくれたわけでもない。
よくわからないけど、とにかく読んでみた。
見た感じはもっさくて風采が上がらない。でも実は弁護士としては超有能。
靴メーカー社長の母親(そして会長)の葬式の後で霊柩車がジャックされ死体が誘拐された、という訳のわからない事件で犯人との交渉を依頼され、特殊な才能により問題を解決する様子が、なんだかリーアム・ニーソンの映画を観ているような気分になる。
霊柩車ジャックの犯人である売れない漫才コンビの木村と田村に、謎の靴磨きの老婆、百瀬が通う結婚相談所のスタッフ、そしてクライアントである靴メーカー社長の大河内、といった面々のバラバラな話がだんだんと一点に収斂していく様子が、何だか伊坂幸太郎の小説っぽい。だいたい、木村と田村はちょっと『マリアビートル』の蜜柑と檸檬を連想させるし。
読み進めていくうちに、ふむ何となく先が見えてきたぜ、と思っているとやっぱりそんな感じになってきて、ほら見ろと油断していると思わぬところから伏兵が出てきたりしてちょっと驚いたりもする。なるほど。面白い小説だった。
それにしても、何でこんな本がうちにあったんだろう?