野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

オートマトンと羊は関係ありませんから

録画リストの下の方で消えそうになっていた『イミテーション・ゲーム』を、やっと観た。

その界隈では名前を知らぬものがいないと言われる、アラン・チューリングが主役だ。その界隈ってのは、どの界隈かってあんたそりゃ、コンピュータサイエンスとか人工知能とかその界隈ですよ。そういえばチューリング・テストって、なんとなく『ブレードランナー』のフォークト=カンプフ検査っぽい。というかチューリング自身がちょっとレプリカントっぽくないか。少なくともサイコパス気質ではなかろうか。Wikipediaの記事ではASDの可能性にも触れているけど。
「俺たち昼飯食いに行くけど」というのを文字通りに解釈し、そこから「一緒に昼飯食いに行かないか?」という投企的意味を読み取らない(読み取れない)というあの場面は、なかなか興味深いな。
第二次世界大戦中に、ドイツのエニグマ暗号を解読するという実話に基づいたストーリーなわけだが、あれってどうやってるんだろうと思って調べたら、手法としてはブルートフォースアタック、つまり総当たり方式なのだな。そりゃ何か制約が無いと、当時のコンピューティングパワーでは時間かかってしょうがないよな。というかなかなか答えが出なくて焦ってたけど、組み合わせの数と演算速度から、だいたいの所要時間って見積もれるんじゃないのかよ。そこだけ見たら「チューリングも大したことないんちゃうか」とか罰当たりな感想を持つ輩も出てくるのでは。
ちなみに今のコンピュータでも、エニグマ暗号を解くには分散コンピューティングとかやっとるんですね。なかなか大変。
それはそうとイギリスの1950年代では同性愛は違法で、刑務所に入れられるか投薬による「治療」を施されるか、だったのだな。野蛮ですなあ。