野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

さすが帝王

3連休の最終日、特にこれといった用事もなく、終日家でダラダラと過ごしていたのだが。
NHKで「ジャズの帝王〜マイルス・デイビス没後20年」なる番組をやっていたので、普段めったにみることのないテレビをみた。もうすぐマイルスの命日(9月28日)なのだ。そして今年は没後20周年。なるほどそういうことですか。我らが菊地成孔氏が登場し、思い入れたっぷりに色々と解説してくれるのだ。
実は10月1日1:40(9月30日の深夜ですな)に、1973年のマイルス来日公演の貴重なライブ映像を放映予定なんである。今日の番組は言ってみればその前振りみたいなもんで、件のライブ映像の一部を見せていた。
いやちょっと待てよ。その映像は、当時NHKの「世界の音楽」とかいう番組で放映されたものらしい。なぜ貴重な映像かというと、「テープが行方不明になっていたから」って、そんなもんちゃんと管理しとかんかいNHK!受信料払わんぞ、そんなエエ加減なことしとったら。

さてそんな日曜日、ついに「M/D」の下巻を読み終わった。


いやまっことマッシヴな一冊(いや二冊に分かれてるけど)である。
下巻は、いわゆる「エレクトリック・マイルス」以降の歴史について。上巻同様に、布施明仁氏、濱瀬元彦氏による楽曲分析があり、これはもうちーとも理解できないのであるが、それ以外の部分についてはいずれも興味深く濃厚な内容なんである。
上巻で出てきたキーワード、エレガンス、アンビヴァレンス、そしてミスティフィカシオンはそのままで。さらに下巻で加わるキーワードは、「電化」、「磁化」、そして「神格化」。どうもわたくしが今まで聴いてきたマイルス作品は、Kind of Blue以前、クールとモードに偏りすぎな気がする。どうもこの「ジミヘン=マイルス期」のあたりが手薄なようだ。こんどはBitches BrewとSorcererあたりが要チェックだ。
それにしても晩年のマイルス、面白すぎる。ひょっとしてそれってかなりイタいジジイなんじゃないのかという気がしなくもないのだが、それがまた微笑ましく受け止められるのが、マイルスのグレートなところなんだろう。
というわけで、お腹いっぱいになりました。