「憂鬱と官能を教えた学校」の上巻を読み終わった。
憂鬱と官能を教えた学校 上---【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 調律、調性および旋律・和声 (河出文庫 き 3-1)
- 作者: 菊地成孔,大谷能生
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/05/01
- メディア: 文庫
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このタイトル、バークリーの事を言っているのだろうか、それとも彼らが講義をした映画美学校のこと?そのへんはよくわからないけど。
いずれにしても、この本は、バークリー・メソッドを勉強するための本ではない(当たり前か)。音楽を効率よく流通させ、商業ベースに乗せるためには、「容易に保存・再生のきく」かたちにしなければならない。その手段として、十二音平均律をはじめとする「音楽の記号化」の試みが色々となされてきた。20世紀におけるひとつの達成が、音楽をメロディとコードに分離してポータブルにする「バークリー・メソッド」である。そのバークリー・メソッドの思想から、あるいはそれによってもたらされるものから見えてくるものは何か、というテーマだ。
ただバークリー・メソッドの解説本ではないとは言っても、ある程度はその内容を知っておく必要があるわけで、本来ならば何年間もかかるところを数週間の講義でざっとつまみ食いしようという無謀な企画でもある。
上巻の最初のほう三分の二ぐらいまではなんとか理解できるけど、セカンダリー・ドミナント7thとか裏コードとかの話のあたりがちょっと… 完全4度、完全5度が「完全」たる所以を音響物理、音韻構造の両面から解説されている内容も、「完全」に理解できたという気がしないし。これ本当は、自分でキーボード弾いて、音を確かめながら読み進めないと、ちょっと無理があるんじゃないかなと思う。まあさすがに通勤電車のなかでそんなことできないけど。
そうそう、基音に対して振動数の比が2:3になるのが完全5度であるというような解説があったのだけど、それいくら計算しても完全5度でなくて増4度になってしまうように思える。何が間違っているんだろう?