野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

なんでもクリームばっかり

ついにWOWOWに「マラヴィータ」が登場、ということで録画していたのを観た。
これは劇場公開時にも映画館で観たが、やはり面白い。バカ映画だけど。

マラヴィータ [DVD]

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どうも最近、「これは良い!」と絶賛している映画が「ジャンゴ」、「マラヴィータ」、「REDリターンズ」、そして「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(これは映画館では観そびれたけど)と、やたらヴァイオレントだったりバカだったり下品だったりするのがちょっと気になるけど、まあそういうのが好きなんだから仕方ない。
「マラヴィータ」は、証人保護プログラム下、ノルマンディーの片田舎でひっそり(?)と暮らそうとする元マフィアの一家が主役だ。母親マギーがスーパーへピーナツバターを買いに行くのだが、そんなものは置いてない、と店員に冷たくあしらわれ、居合わせた買い物客もいっしょになって、「アメリカ人は金だけはあるが味覚ってもんが無い」とか「あんなもんばっかり食ってるから太るんだ」とかさんざん(フランス語で)陰口を叩かれるシーンがある。それに腹を立てた(ちゃんと聞こえてるし、フランス語もわかるのだ)マギーがスーパーを爆破する、というのがひとつの見所だ。やっぱりこう、フランス人っていうのはどうも排外主義的な傾向があるんじゃないだろうか。自分たちの文化に誇りを持つのは結構なことだが、それと違うものをバカにして受け入れないっていうかね。一方で、そういうメンタリティを皮肉るようなシーンを、自身がフランス人であるリュック・ベッソン監督がこうやって入れているのがまた、フランス人独特の批判精神みたいなものを表しているという気もするけど。こんなふうに自分自身をネタにしているうちは良いけど、あまり人をバカにしすぎない方が良いんじゃないかと、ほんの数日前に起きたイスラム過激派による新聞社の襲撃事件を見て思った。もちろん表現の自由というのは尊重されるべきだし、テロを正当化するつもりは毛頭無いけど、他人が精神的な拠り所にしているものを茶化して面白がるってのはあんまり感心しないな。少しは反省した方が良いと思うよ。