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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

週に一度は「金龍」で

読書

なんという偶然か。ちょうど『YKK秘録』を読んでいる時に、元自民党幹事長の加藤紘一氏の訃報を聞いた。

YKK秘録

YKK秘録

政治がらみの時事ネタに特別に興味があったわけではない、むしろ疎い方だったと思う。それでも1980年代からこちらの出来事について、やはり新聞やニュースで多少は耳に入ってきてリアルタイムで体験している諸々の出来事については、その舞台裏を当事者の立場で語られると、これはなかなかにエキサイティングだ。このあたりはどうしても、『第二次世界大戦』よりも『ルイ・ボナパルトブリュメール18日』よりも、「知っている出来事」についての話なのではるかに面白い。
ハイライトはやはり「加藤の乱」だ。当時わたくしは、あんな下品でどこから見ても知性のカケラも感じられない人が内閣総理大臣なんていうのがどうにも気に入らず、「ええぞ加藤、いてコマしたれ!」と陰ながら応援していたものだが、結局あの企てが失敗に終わってしまい、すっかり落胆したものだった。その裏事情のようなものについては10年ほど前に読んだ『老兵は死なず』に書かれており、あれもなかなか面白かったのだが、今度はさらにそれを当事者にかなり近いところから語られる内容が、とても興味深い。
元首相でありYKKの一人である変人・小泉純一郎氏は「YKKは友情と打算の二重奏だ」と言ったそうだ。この発言は、YKKとは何なのか、というのを実によく言い表している。そして、この本を読むと、小泉氏の変人ぶりと洞察の深さと頑固さというのがよくわかる。あと、小沢一郎という人は野中広務氏に「悪魔」呼ばわりされていたけど、ここでもあんまり評判がよろしくないなあ。
そんなこんなで、昔(そんなに前じゃないけど)の政治家っていうのは、バケモノじみた人だらけだけど、その一方では随分とマトモだったんだな、としみじみ思ったことだった。