野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

元気なおじいちゃんの名人芸はこれで決まりさ

山下達郎なんて、と正直ちょっとバカにしてたところがあったのだ、昔は。
でも最近(といってもこの5〜6年ぐらいのことだけど)、いや実はやっぱりかなりええんでないのタツロー師匠。と思うようになっていたのだ。それでアルバムもいくつか買ってぼちぼち聴いてみたりして。そうこうするうちに、こりゃひとつライブも行ってみたいぞ、と思い始めた。ライブについては、昔から某友人が絶賛していた、というのもある(その時は、あー山下達郎ねー、ぐらいの反応をしていた)。
そして3月のある日、コンビニの店頭でツアーの宣伝ポスターを見かけたので、日程をチェックして予約したのだ。
って簡単に書いてるけど、実は山下達郎のライブって抽選で、しかもなかなか当たらないものらしい。知らんかった。今回あっさり当たったのは、ビギナーズラックだな。
会場はもちろん、日本一のハコと御大が絶賛するフェスティバルホール。なんか、以前にキース・ジャレット観にきた時と同じような席だな…

f:id:neubauten:20170604104032j:image

さて、ライブはほぼ定刻通りに始まった。
『ポケット・ミュージック 』のお囃子(お囃子って言うな)に乗ってタツロー師匠およびバンドのメンバーが登場。そして師匠、おもむろにあのギターのリフを弾いて『SPARKLE』が始まった。おお、これですよこれ。これが山下達郎
そして『いつか』ってこれ『RIDE ON TIME』のアルバム1曲めですやん。ふつうに古い曲ばんばんやるんですなあ。で次の曲、イントロ聴いたら『ジャングル・スイング』かと思ったけどそうじゃない。あ、これは『夏への扉』(これも『RIDE ON TIME』ですね)か、でもこんな曲だったかな?と思っているうちに、すぐ違う曲に変わった。『途中で歌が変わるシリーズ』やないか。知らん曲だったが、後で調べたところ『ドーナツ・ソング』だった。うん、確かにドーナツドーナツと連呼しとったな。
ようやくここでMCが入る。で、夏らしい曲を、ということで『僕らの夏の夢』と『風の回廊』の2曲。
次に、他の人のための書いた曲を歌う、という。誰かに曲を提供する時は、その相手に合わせて曲を書くので、自分はまず歌わないような曲を書くのだとか。あまりにもキャラが違いすぎるのだけど… というから、何だおい『ハイティーン・ブギ』でも歌うのか?と思ったら、知らん曲だった。後での解説によれば、鈴木雅之に提供した『Guilty』だとか。
今度はキーボードに移動して、『FUTARI』と『潮騒』の2曲。
その後、御大とベースとキーボードを残して、他のバンドのメンバーが退出する。たまにこの3人編成でライブをやることがあるのだそうで、ここで『ターナーの汽罐車』。いや、こんな編成でやれるような曲あるのかよ、と思っていたのだけど、これがなかなか良くてですね、実にしっくりくるんですな。
そしてバンドのメンバーが戻ってきて、今度は洋楽カバーをやる、と。毎回恒例になっているらしいが、今までずっとマニアックなものばかりやってきたけども、御大も還暦を過ぎて丸くなってきて、もうベタでも客に受ければ良いじゃないか、と思い始めたということでトム・ジョーンズの『It's Not Unusual』。うん、どっかで聴いたことあるような気がするな。
そして「プロテストソングというわけでもないですが」と、『THE WAR SONG』をやって、またバンドのメンバーが引っ込む。これまた恒例になっているっぽい、『ON THE STREET CORNER』シリーズだ。一人多重録音したカラオケをバックに、『SO MUCH IN LOVE』と『Stand by Me』の2曲。ほええやっぱすげえなあ、と思っているうちに『JOY TO THE WORLD』を流しながらバンドが戻ってきて、『クリスマス・イブ』になだれ込んだ。まさかこの曲をやるとは… タツロー師匠、開き直ってますな。
それから『蒼氓』をやるのだけど、これまた途中で歌が変わるシリーズで、『People Get Readyとか『Blowin' In The Wind』とか、あ、メドレーと言えってか。なんかでも、御大が時々入れるおちゃらけも含め、憂歌団のライブを思い出すなあ。
『Get Back In Love』をやってから、「後半は大阪での思い出深い曲をやります」なんて言い出した。後半?いやもうここまでですでに2時間以上経ってまっせ!?
まあとにかく『メリー・ゴー・ラウンド』、そして『LET'S DANCE BABY』になると立ち上がる人多数。何だ何だ?と思っていると曲の途中のとあるタイミングで少なからぬ人々が一斉にクラッカーを鳴らすので仰天した。コアなファンとしてのお約束なのか…
さらに『高気圧ガール』、『CIRCUS TOWN』をやっていったん終了。
アンコールで出てきて、また他人に書いた曲の話をする。もうこの歳になったら(歳の話ばっかりしてた)、キャラが違うとかそんなことはもうどうでも良くなった、なんてことを言って、え、もしかしてまさかの、と思ったらまさに『ハイティーン・ブギ』!
いやこれは… エエもんを観させてもらいました。こんだけでもこのライブ来た値打ちあるわー。
で、やっぱりこれは聴きたいよね、な『Ride On Time』。
最後に御大ひとりで口上述べ、『THE THEME FROM BIG WAVE』をアカペラで歌って本当に終了。
いやあすごかった。まさに名人芸、という感じ。堪能した。3時間超あったがバラエティに富んだ内容で、飽きさせない。御大を遠目に見た感じでは、かなりの猫背で、歩き方もひょこひょこしてて、けっこうなおじいちゃんなのだ。それが歌うともう、バケモンですかあなた、と言いたくなる。何気にギターもすごいしね。
ぜひお元気で長生きしていただきたいものである。