最近WOWOWでやっている中華ドラマ『軍師連盟』、主役は司馬懿仲達で、これがなかなか面白い。観ているうちに、またちょいと三国志を読んでみたくなった。以前に読んだ北方謙三版を読み直すか、あるいは他の作者のものに手を出すか。
どうせなら読んだことのないものを、ということで宮城谷昌光版を選んだ。
- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 文庫
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そして
「安帝が親政をはじめてから、この王朝は地震と雨に祟られはじめた」
「失徳と失政は天災を招く、という考え方は常識なのである」(p.132)
だそうだ。うん、やっぱりな。
もうひとつ驚いたことといえば、語彙の異様さだ。平均して1ページに1語以上は知らない単語が登場する。まあだいたい文脈と字面からなんとなく意味は取れるのだけど、「休寧」「曲庇」「奸猾」「恵恤」「聳立」「正諫」なんて見たことない。さらには、黜という漢字で、これは「ちゅつ」と読むらしい。何だそれは。そんな読みの漢字なんて見たことも聞いたことも無かったぞ。これはたとえば「貶黜」(へんちゅつ)なんていう熟語になっている。意味は「官位を下げて、しりぞけること」だそうだ。「免黜」というのもあったな。面白いのは、こういう当用漢字にはまず無さそうな字を濫用しながら一方では「媚付をかさねる」「 政柄をにぎる」「穢悪なうわさがとどく」などのように、簡単な漢字はなぜかひらがなになっていることだ。なんたるアンバランス。いや、難しい漢字が多い割には意外とリズムが良くて読みやすい。これはひょっとして、そういう配慮のもとに取られた絶妙なバランス、なのかもしれない。宮城谷昌光… おそろしい子!