野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

だから鈴はヤバいって

やっと『騎士団長殺し』に取りかかることができる。文庫化されてすぐに買ったのに、2ヶ月も寝かしてしまっていた。

騎士団長殺し 第1部: 顕れるイデア編(上) (新潮文庫)

騎士団長殺し 第1部: 顕れるイデア編(上) (新潮文庫)

いやしかし、村上春樹の小説で主人公がGoogleFacebookを使ったりするようになるとは思わんかったなあ。いやもちろんそんなにゴリゴリ使うわけじゃないのだけど、何というか「普通にその辺にあるもの」という感じになっていて。まあ時代ですわな。
さてこの小説、主人公は山奥の一軒家に住む肖像画専門の画家で、ある日突然に谷を挟んだ向かい側にある豪邸に住む謎の紳士に肖像画の作成を依頼される、てな話なのだが。
初めて読む話のはずなのに、なんだか強烈な既視感を覚える。何なんだこれは、と思って気づいた。そうか、『グレート・ギャツビー』か!主人公はつまりロングアイランドイースト・エッグに住むニックで、謎の紳士・免色は湾を挟んだウェスト・エッグの城に住むジェイ・ギャツビーじゃないか。でこの免色のキャラクター設定というのが実にギャツビー的なのだ(大金持ちだし)。
おーこれはこれは、と思っていると、草木も眠る丑三つ時にどこからともなく鈴の音が聞こえてくる、なんていうホラーじみた話になってきた。えらいことですよ。さてこの話がこれから、いったいどんな風に展開していくのか。楽しみですなあ。