俺もないけど心配すんな

『老後の資金がありません』は2015年9月に発刊された。「老後2000万円」が問題になるより4年近くも前のことだ。

老後の資金がありません (中公文庫)

主人公の篤子さんが老後資金として貯めていたのは1200万円だが、娘の結婚式と舅の葬式であっという間に目減りしてしまい、そして夫と二人揃って失職してしまった。紹介文に書かれているように次々と「ふりかかる金難」が、あまりに辛すぎてとても読んでいられない。いや、読んだけども。「生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説」って、うーんそうかなあ。ヒントになるのかなこれ。勇気は… まあ何というか、「そのうちなんとかなるだろう」みたいなヤケクソな感じがするんだけどな。しかし偉いね篤子さん。子供2人を大学と短大にやって、しかも親（夫の実家）に毎月9万円も仕送りするなんて。
辛すぎて読めなかったストーリーも、9万円の仕送りが無理、となって姑と同居し始めたあたりから妙に面白くなってくる。この姑ってのがなかなかぶっ飛んだ婆さんなのだな。ここでまた年金の不正受給問題なんかも絡めてきて、なかなかやるなあ。
あーそれにしても、溶かしちまった俺様の年金どうすんだよ。しかも消費税10%とか言いやがって。何が100年安心だよふざけんな。
というわけで、面白かったけど何だか殺伐とした気持ちになったことでした。