野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

だいぶ本代が浮いた

やっとの事で「悲しき熱帯〈2〉 (中公クラシックス)」を読み終わった。いったい何週間かかったことやら。

悲しき熱帯〈2〉 (中公クラシックス)

悲しき熱帯〈2〉 (中公クラシックス)


2巻でいよいよ本題というか、色々な部族に関する具体的な記述が中心になってきたので、そういう意味では読み易くなったし、面白くなった。とりあえず先住民の暮らしぶりに対して衝撃を受ける部分は多々あった。だけど、それでもやっぱり難解過ぎる。ちょっと気を抜くと、たちまち何が書かれているのかわからなくなり、同じところを何度も読んでいたりする。そんなわけだから、たぶん全体の2割ほどしか理解できなかったんじゃないかと思う。正直なところ、世間の皆さんが言うように「これは名著だ!」と手放しで絶賛はできないなあ。情けない話だが。
原題の Tristes Tropique -- これは「悲しき熱帯」というより、「陰鬱な熱帯」とかそういう表現のほうが、より正確らしい。それはなんとなくわかるような気がする。全体に流れる雰囲気は、やはりどこか陰鬱というか、沈鬱で、そしてある種の絶望のようなものさえ感じる。そして著者のレヴィ=ストロースは未開の地で、相当ひどい目に会ったりしているようだが、なぜそこまでして、そんなところにわざわざ行くのだ?と素朴な疑問がわいてくる。同じ事を、実は本人も幾度となく自問しているらしい。ある種の人達は、こういう理屈では説明できないような力にせき立てられ、そしてさらにその一部の人が、他には成し得ない偉業を達成するんだろうな。