書店で「ヤクザに学ぶ組織論 (ちくま新書)」という本を見つけて、面白そうなので買って読んでみた。
- 作者: 山平重樹
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/01
- メディア: 新書
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ヤクザの組織の強さの秘密というのを、筆者は次のように分析している。
- カリスマ性のある組長のリーダシップ、そして組員の代紋への強烈な帰属意識
- 強固で整然としたピラミッド型組織
- 徹底した情報収集・活用能力
といったようなことなのだけど、最初の2つって、最近ではあんまり流行らないんじゃないか?組織のリーダにとって、そのリーダシップの源泉をカリスマ性に求めるのは間違っている、とする学者は多い。たとえばドラッカーだってそうだ。「ドラッカーの遺言」では、「カリスマに対しては不快感を示すべき」とばっさりだ。メンバの組織に対する帰属意識っていうのは重要だと思うけどね。そしてピラミッド型組織っていうのだって、最近では意思決定と実行のスピードを重視し、どちらかというとフラットな組織を目指そうとする流れに逆行するものだと思うし。実際、テロリストのネットワークなんて、ピラミッド型の対極だもんな。
まあそんなわけで、本気でヤクザから組織論を学ぼうと思ってこの本を手に取ると、ちょっと腹が立つ人もいるかもしれない。だけど、暴力団どうしの抗争とか、伝説となっている親分たちについて書かれたノンフィクションとして読めば、これはなかなか面白い本なのだ。