文庫になった村上春樹の小説は概ね読んでいるはずだった。が、なぜか「レキシントンの幽霊 (文春文庫)」は何年も前に文庫化されていたのに、まだ読んでなかった。たぶん、短いからいつでも読めるし、とでも思って先送りし続けていたんだろう。
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
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本当に短い話ばかりの短編集で、通勤中に2日ほどで読み終わってしまうボリュームだけど、なかなかどうして、中身はけっこう濃厚なのだ。
最もインパクトがあったのは、本書の中で最も短い「緑色の獣」、どうしてこんな気色の悪い話を思いつくのか。
表題作の「レキシントンの幽霊」に、何週間も眠り続ける男の話がでてくる。これってこの前読んだ「アフターダーク」にもそんなのがあったな。「海辺のカフカ」のナカタさんも眠り続けてたしな。井戸と同じぐらいに重要なモチーフなんだな、きっと。
「トニー滝谷」に、トニー滝谷がやとった女が、彼の亡くなった妻の衣装部屋で何百着という服を前にして泣き出す、というシーンがある。これを読んだら、「グレート・ギャツビー」でギャツビーの大量のシャツを見て、デイズィ(だったかな?)が泣き出す、だったか泣きそうになるんだったか忘れたけど、とにかくそんな話を思い出した。やっぱりあれを意識して書いたんだろうか?それにしても、この話が映画になるらしいが、こんなのどうやって映画にするんだろう。