野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

わざとやってんのか?

ふだん、本を借りるということはほとんどしないのだけど、とある人が「面白いから読んでみろ」と、「自我の起原―愛とエゴイズムの動物社会学 」なる本を貸してくれた。こんな本、きっと自分で買って読む事はないだろうから、たまには本を借りるっていうのも良いかもしれない。


この本のテーマはまあ平たく言えば、自分とか自己とかっていうのは結局どういうことなのか、みたいな話だ。人間を含めて、生物というのは実は遺伝子(この本では「生成子」と呼ぶ)を運ぶためのメディアである、というところから話は始まる。そして、動物には、他の個体のために自己を犠牲にするような「利他的な」行動が観察されることがあるが、これは個体ではなく生成子の視点で考えると、実はやはり利己的な行動であることが理解できる、なんていうことが色々な例を挙げて書かれている。なかなかに面白い内容なのだ。
だがしかし、とにかく難解きわまりない。ちょっと気を抜くと、すぐに何が書いてあるんだかさっぱりわからなくなる。同じところをぐるぐると、何度行ったり来たりしたことか。もう少しわかりやすく書けないもんだろうか。文章の論理構造自体はしっかりしているから、じっくり読めばなんとか理解できるのだけど、読みにくくって仕方が無い。
たとえば法律の条文であるとか、契約書とか特許の請求項なんていうのは、読みにくい文章の筆頭に挙げられると思うが、だけど同時に極めて正確で、モレが無いように書かれている。これらの文章は、ある程度の数を読んで、そのスタイルに慣れればそれなりに読めるようになるものだ。ということは、この手の本っていうのも、慣れてしまえばそれなりに読めるようになるんだろうか。
とりあえず、次はもう少しお気楽な本でオーバヒート気味の頭を休めるとしよう。