最近すっかり谷崎ファンになってしまったな。「蓼喰う虫 (新潮文庫)」を読んだ。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/11/02
- メディア: 文庫
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主役は離婚しようとしている夫婦だが、その妻の父親というのが味があるキャラクタだ。この老人の趣味については、実はほぼすべてが「陰翳礼賛」に解説されている。
和食がもっとも美味そうに見えるのは塗物の食器であるとか、風呂場は暗い方が良いとか、便器を白くするなんていうのは品がないとか、人形浄瑠璃がどうのこうのとか。
あらかじめ「陰翳礼賛」を読んでおいたのは正解だった。もちろんこの本のために読んだわけではないけどね。
作風としては、以前の耽美的な世界から、日本的な美を追求するように方向を変えつつある時期だったそうで、なるほどこれが後に「細雪」につながるのか、とうなづける。
しかしこの小説もまた、ほうほうそれでどうなるのか、と思わせておいていきなりぶちっと終了する、まるでレイモンド・カーヴァーだ。ええ加減にしとけよホンマに。