単行本で出た時から「これは読まねば」と手ぐすね引いて待ち構えていた『あの家に暮らす四人の女』が文庫になった。意外に早かったな。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2018/06/22
- メディア: 文庫
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実際には『細雪』のような雅な話ではない。が、そこはかとなく感じる退廃的なテイストには、どこか通じるものがあるかもしれない。牧田家の歴史を長年にわたって見守ってきたカラスの善福丸であるとか、鶴代の夫(=佐知の父親)の亡霊に登場させ、あれこれ語らせるという強引な手法には些か驚かされたが、そういう人ならぬものの視座による観察を導入することによって、そう長くないタイムフレームの中で滅びてゆくしかない牧田家の人々(といっても二人だけど)の諦念と悪あがきの「ひと臭さ」を際立たせ、一方でデカダンスを醸し出してる、てなことではなかろうか。いや、知らんけど。
『細雪』と同様に、古びた洋館に暮らす女たちは花見に行く。それもけっこう気合を入れて弁当など用意して。しかし持って行く酒はビールと白ワインのみだ。そこにロゼなんかも入れてみるとけっこう良いんじゃないかな、というのがわたくしからのアドバイスだ。まあ参考までに聞いておいてくれたまえ。