柳広司氏のおすすめ、「赤朽葉家の伝説」がついに文庫化。つーことで早速読んでみたんですな。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/09/18
- メディア: 文庫
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鳥取の旧家、赤朽葉家の女三代の物語。漂泊民が置いて行った子どもが拾われて育てられ、赤朽葉家に嫁いだ未来視のできる「千里眼奥様」の万葉、その娘で中国地方を制覇する暴走族の頭からなぜか超人気漫画家になった毛鞠、さらにその娘、すなわち万葉の孫にあたる瞳子が語るクロニクルはなんとも不思議で、その荒唐無稽ぶりはまるでガルシア=マルケス。と思ったら、やはり「百年の孤独」を意識して書いた、とあとがきにある。なるほど。でも「百年の孤独」のあの南米的な狂躁とは違った、山陰的な陰鬱さと静謐さがまた独特の味わいを与えていると思う。そしてこれは同時に「昭和のクロニクル」でもある。うむ、傑作だ。