連休中に吉野へ行って以来、「吉野葛」が気になっていた。葛そうめん、美味しゅうございました。
ではなくて。色々とあるようだが、新潮文庫の「吉野葛・盲目物語」にした。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/08/14
- メディア: 文庫
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「吉野葛」、歴史小説の良いネタを求めて吉野に取材に行くというお話。秋の吉野の、大変に美しい様子が描かれていて、それはまあそれで結構、なのだが、では肝心の歴史小説のほうはというと、「題材負けしそうだからやーめた」て何じゃそら。
そして浅井長政の妻、お市の方に仕えた按摩師が語る物語という体裁の「盲目物語」。妙にあちこちひらがなにして読みにくいやんけ、と思ったら意外とそうでもなく、むしろ一筆書きのようにつるつるっと読めてしまい、また物語にも引き込まれるというこのふしぎさ。あのひらがなの意図は何なのだろう。字面を美しくするためか、それともリズムを整えるためか、あるいはその両方か。
トラディショナル日本テイスト全開、となる少し前、谷崎ジャポニスムの萌芽がみられるあたりでちょっとええ感じの2品でございました。