『泣き虫 弱虫 諸葛孔明』第伍巻の文庫がそろそろ出てきても良い頃じゃないのかな、と思いつついろいろ調べていたら、酒見賢一氏のデビュー作品という『後宮小説』を見つけた。
とりあえずこれ読んどくか、という感じで手をつけたわけだが、実に何とも不思議な小説だ。舞台は古代中国のどこかの国?かと思うと、そういうわけではない。皇帝がいて、後宮を取り仕切る宦官がいて、そして、その宦官がひっそりと日記に綴っていた裏話と史書を基にした、いかにも中国の古い話であるかのように作られたフィクションだった。
話の造りだけを見ると、いかにも、という感じなのだが、ストーリーそのものも、そしてそのディテールも、さりげなく荒唐無稽。なのに、なんだか中国にそういう故事があったのか、というような気にさせられる。けったいな小説だ。でも何だか妙に面白くて、ずいずいと読んでしまう。
面白かった。でもそろそろ『泣き虫 弱虫 諸葛孔明』の第伍巻が読みたいので、とっとと文庫出してくださいお願いします。