待望の「泣き虫弱虫諸葛孔明」第参部が、ついに文庫化された。
数ある三国志小説の最高峰だと思う。っていっても、他の三国志小説は(北方謙三版以外は)読んだこと無いけど。
- 作者: 酒見賢一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/02/06
- メディア: 文庫
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そんな、劉備や張飛や曹操、そして諸葛亮の言動に対していちいちどうにもすっきりしない思いが募って行くという、サンゴクシシャン失格な読者のためにあるのがこの酒見版「泣き虫弱虫諸葛孔明」シリーズだ。いやもう、読み進めるうちに、実に様々なことが腑に落ちて、膝を叩きすぎたために膝の皮膚が破れて出血し、あたり一面が血まみれだ。
さてこの第参部はいよいよ、三国志といえばこれ、といっても差し支えない「赤壁の戦い」だ。したがって主役は、孫呉の名将にしてイケメン将軍、美周郎こと周瑜公瑾である。おそらく三国志のなかでもベスト5くらいに入る人気キャラだろう(知らんけど)。諸葛亮に対しては怒涛のごとくツッコミを入れまくっていた作者も、あまりに男前すぎるせいか周瑜に対してはどこか遠慮している、というかちょっとエコヒイキしすぎじゃないか?というあたりちょっと微笑ましくはある。それでも、変質者孔明に対して激しい殺意を抱く美周郎があれこれ策略をめぐらすも、悪知恵では孔明にかなわずさんざんコケにされるの巻。今回も大変に楽しめました