野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

しっかりせぇ庄造よ

世の中の猫好きの皆さんは、この本を読んで、「そうそう、そうなのよねー」と思うだろうし、そうでない人も「へぇー、そんなもんでっか」と思うことだろう。
「猫と庄造と二人のおんな」のことだ。

猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)

猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)


やっぱり谷崎せんせは変態だ。いや、正確には猫好きの変態だ。ほぼ間違い無いだろう。
これまた構造的には「痴人の愛」と同じ物語だと思う。
男を惑わす魔性の女・ナオミは、「卍」において、男のみならず女性までも虜にする光子となる。さらにその「魔性」ぶりを昇華させると、もはや人間ではなくなる、それがリリーだ。彼女(猫だけど)に魅入られた人たちはそれぞれのしかたでもって耽溺し、破滅していく。何とも滑稽でありながら、同時にぞっとする話だ。
庄造のアホぼんぶりも絶品。
さすがは変態文豪・谷崎潤一郎