まったくね、僕もそう思うよ。
タイトルを見て、そうつぶやいた。
「源氏の男はみんなサイテー」という本のことだ。
- 作者: 大塚ひかり
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/06/10
- メディア: 文庫
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最初に源氏物語を読んだとき、どうもわかりにくかったのはストーリを知らなかったから、だと思った。それは確かにそのとおりだ。だけど、それじゃあ他の小説ってストーリをちゃんと知ってるのか?そんなことないわな、普通。もちろん、主語がはっきりしないとか色々な理由はあるが、一つ言えるのは、「登場人物の行動がどうも非常識」ということだ。非常識というのはちょっと違うかな。え、マトモな人ならそんなコトしないよね、とか、アンタがそんなこと言うのはちょっとおかしいよね、と思わずにはいられないような言動がやたらと目につく、とでも言うべきか。そりゃあ、当時と現代とで倫理観みたいなのが違うとはいうものの、いくらなんでもそりゃないんじゃないの、というのが随所にあるのだな。
源氏物語を読んで感じていたモヤモヤが、これですっきりした気分だ。
原作にせよ谷崎版にせよ、表現が非常に婉曲的だから、「何かおかしいな?』と思うぐらいだったけど、この本のように、要するに彼らは一体何をして、どういう発言をしたのか、ということをはっきりと書いてしまえば、本当にサイテーな連中なのだということがとてもよくわかる。とくに宇治十帖の薫、こいつぁ本当にどうしようもない。
「カラマーゾフの兄弟」もひどいもんだったけど、彼らも負けてない。貴族っていうのは本当にロクでもないものなんだな。
ちなみに、本文もさることながら、文庫版で追加されたイラスト、これが素晴らしい。これだけでも文庫版を買う価値があるだろう。