わたくしは自分のことを、ジャマくさがりでかなりエエ加減な人間であると認識している。
一方で世の中には、すごく几帳面だったり生真面目だったりして、場合によってはそのために無用な不利益を被ったり、不幸な目にあったりすることもある。「カタブツ」という本は、そんな人たちが主役の、ちょっとしたミステリー的な短編集だ。
- 作者: 沢村凜
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 文庫
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でも、実は人ごとじゃないのかもしれない。たぶん誰でも、このエエ加減な俺様でさえも、この本に出てくる人たちのような部分がどこかにある。他の人なら全然気にならないことに対して病的なまでにこだわってみたり。それが嵩じると、やれ強迫神経症だとか何とかと病名がついてしまったりするけど、その少し手前のところでとどまっているだけの話じゃないか。
最後の「無言電話の向こう側」が特に好き。この主人公のように理性的で公明正大でいられたらどんなに良いだろうと思う。そんな男でも実はこんな弱みが、ていうのがこの話の良いところなのだけど。