野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

へもい女優

ほんじょの新刊(既刊の文庫化)が出た。
ほんじょの眼鏡日和。」改め「めがね日和」だ。

めがね日和 (集英社文庫)

めがね日和 (集英社文庫)


本上さんは目が悪い。でも女優だから仕事の時はコンタクトだ。でオフの時はたいてい眼鏡なんだそうで。彼女の言葉を借りて言えば「ふだん着の日常」、リラックスしたゆるい状態でのあれこれに関わる文章を集めたのが、この本だ。
最初にいきなり短歌が。

じいちゃんは夜はお米は食べません米の汁だけお銚子二本

これ、先日読んだ穂村弘さんの「現実入門」でも見た。なんかええなあ、と思った。この本ではさらにその背景が語られる。じいちゃんは夏になると一年分のだだちゃ豆を買って冷凍しておく。毎晩、そのだだちゃ豆を半袋ずつ茹で、イワシの塩焼きとたくあんで熱燗をちびりちびりとやるのだそうだ。なんともゴキゲンな話ではないか。
彼女は大阪育ちだが、生まれは母親の実家である山形県の鶴岡市らしい。夏休みになると、「おかん」と妹の三人、さらにウサギやらカメやらのペットを連れて実家まで大阪から700kmのドライブ。その様子がまた何ともいえず楽しい。
こういった、子供のころの色々な話をはじめとする「ささやかだけれど、役に立つこと」、いや役には立たないだろうけど何だか楽しくて、大切なことが「へもへもと」語られるさまがキュートで微笑ましい。
らもさんの追悼文が収録されているのもポイント高いなあ。「心が雨漏りする日には」の解説になってたやつよね。これを読んだのが、そもそもほんじょのエッセイなど読んでみようと思ったきっかけだったのよな。
ま、そんなわけで今日は朝食にメンチカツサンドを食べてしまったさ。冷めていたのが残念だけどな。