「歌舞伎町のミッドナイト・フットボール」が文庫化された。「スペインの宇宙食」を読んだときに、「とっとと文庫化せよ」と呪いをかけてから一年と少し。ふむ、呪いが効いたんだかどうだか。よくわからんがとにかくめでたく文庫化の運びとなったわけで。店頭に並ぶと同時に購入し、というのは嘘で9月の上旬に出ていたものをやっと今頃になって読んだというのが本当のところ。まあそこはそれ、色々あるんですよ。
歌舞伎町のミッドナイト・フットボール -世界の9年間と、新宿コマ劇場裏の6日間- (小学館文庫)
- 作者: 菊地成孔
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/07
- メディア: 文庫
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内容は、ある時期に菊地さんがあちこちに書き散らかした(←本人談:でも確かにそんな感じだ)ありとあらゆる種類のテクストを集めてきて、前後に解説を入れて味を整えた。というような体裁の本になっている。「スペインの宇宙食」以上に狂躁的で、異様なグルーヴに乗せて送り込まれる怒濤のテクスト群。気をつけないと脳のどっかがやられてしまう。慎重に、オーヴァードウズを避けて、過度にアディクトしないように。
「菊地成孔の選ぶ100冊の本」が面白い。100冊を選び出すにあたって自分でルールを作っているのだが、そのうち4つが
- J・L・ゴダールに関する本は入れない(ネタバレするから)
- M・デイヴィスに関する本は入れない(ネタバレするから)
- 精神分析学に関する本は入れない(ネタバレするから)
- 言語学、哲学に関する本は入れない(ネタバレするから)
となっている。このルールを設定するだけで、ある意味ではすでに結構ネタバレしてしまっているようなのだがいかがか。さらに
- ネタバレしそうな本は、とにかく入れない(ネタバレするから)
とあって思わず吹き出しそうになり、最後のルール14が
- 好きなときに、好きなようにルールを破れる
となっていて、うわすげーなんかボルヘスの「中国の百科事典」みたい、と思ったが、ひょっとしてわざとやってる可能性がかなり高い。
「筒井康隆は全部読んでいる」とのこと。なるほどね。わたくしも中学ぐらいのころにほとんどすべての筒井作品を読んで、そして山下洋輔さんの「ピアノ弾き」シリーズを愛読していたのだから、菊地さんの本を楽しめないはずが無いわけだ。
そういや今度の土曜日、ダブセクステットの大阪ライブ行くんすよ。いやー楽しみですなあ。