野中郁次郎先生の最新作、「イノベーションの知恵」を読んだ。
以前読んだ「イノベーションの作法」、その他イノベーションのなんとかシリーズとだいたい同じような、事例集とその解説だ。といってしまうとなんだかつまらん本のようだが、決してそんなことはない。
- 作者: 野中 郁次郎,勝見 明
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2010/10/21
- メディア: 単行本
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けど、ちょっと引っかかりがなさ過ぎたかも。あまりにするするっと読んでしまった。
- 「理論的三段論法」ではなく「実践的三段論法」を身につける
- 「モノ的発想」から「コト的発想」へ転換する
- 「考えて動く」ではなく「動きながら考え抜く」
- 「名詞」ベースではなく「動詞」ベースで発想する
などなど、表現は違うが他の本で書かれていることと、そう大きくは違わないという気はする(大きく違うようだとそれはそれで問題だ)。うーんでも正直、前の「イノベーションの作法」の時のほうがもっとこう、しっくり来る感じがあったような気がするなー。
最後の「まとめ」の章が一番エキサイティングだったと思う。『「身体性の復権」を目指して〜「場のマネジメント」のあり方を探る」というタイトルなのだけど、この「身体性」っていう問題は、前から結構気になってるのよなあ。そこでメルロ=ポンティを持ち出されるとつらいけど。でも必要なら読んでみるのもやぶさかでは無い。うーむ。
p.290ではなんとScrumについて触れられている。野中先生とまったく縁のなかったソフトウェア開発の話だ。だけど確かに、アジャイルソフトウェア開発は「身体性」との関係が深い気がするのよな。
それにしても
著者の野中はあるソフトウェア開発会社の経営者の訪問を受け、「自分たちのワークショップに参加してほしい」と要請されたことがありました。
とあるが、「あるソフトウェア会社の経営者」って平鍋さんのことじゃないか。他の事例紹介では実名出しまくってるんだから、ここでも実名で書けば良いのに。変なの。
しかしメルロ=ポンティかぁ。参ったなこりゃ。