朝日新聞が選んだ「ゼロ年代の50冊」、その中で見事1位になったのが、ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」だ。いつかは読んでみなければと思いながらなかなか手を出せずにいたが、昨年の暮れに買って年明けから読み始め、今やっと上巻を読み終わったところだ。
- 作者: ジャレドダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/10/02
- メディア: 単行本
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かなりのボリュームの本だ。まだ半分しか読んでないけど、まさに「力作」という感じがする。いわゆるところの「先進国」と「途上国」の格差は、いかにして生じたのか。それはしばしば、先進国の人々と途上国の住民の「生物学上の優劣」の差で説明されることがあったが、その考えは明らかに間違っている。と、ここまでは、レヴィ=ストロース老師の説とそんなに変わらない。
以前のエントリに「レヴィ=ストロース講義」を読んだ感想を次のように書いた。
「未開社会」は別に、貧しいわけでもないし、不衛生でもないし危険でもない。今日の食料に事欠いたり、疫病で常に生命が危機にさらされているのは、西欧社会の人間が過去に異国の地で行った収奪の結果なのだ。「低開発社会」は工業文明によって作られた。未開社会の人々は本来、きわめて少ない労働により、生活していくに必要な食料を得て、周囲の自然とバランスを保ちながら健康に生きていたのだ。レヴィ=ストロースによるこの指摘は、なかなかに衝撃的である。
問題はここからだ。ではなぜ、「未開社会」は西欧社会の人間により侵略され、収奪されることになったのか。わたくしの知る限りこの問いは老師の研究のスコープ外である。これに対して、歴史学、考古学、遺伝子工学、地質学、生物学、などなどありとあらゆる手段を用いて執拗なまでの考察と検証を行う。それがこの本だ。
かなり濃厚である。これから下巻に突入する。心してかかるべし。